■FX分散効果が効いた結果

計算結果は4.43%となりました。 これは、 それぞれの FX通貨を単独で保有した場合よりかなり低い数値になります。 相関係数が-0.41となっているため、 分散効果が効いた結果となっています。 これなら、米ドル/円だけをFX保有するより、 より金利の高いニュージーランドドルもあわせて保有したほうが、 リターンも大きく、リスクも低くなることが統計学的に確認できました。 さらに、投資比率を調整して、 よりベターなFX比率を見つけることも可能です。 3つ以上の通貨ペアを合計したヒストリカルボラティリティの算出方法 *このページの情報は2008年09月24日時点のものです。 次は、3つ以上の通貨を保有した場合のHVの外国為替算出方法を説明します。 ただ、これが少しややこしくて、 意味のわからない言葉や計算が出てくると思います。 ですので、とりあえず理屈は気にせず、 やり方だけ覚えてもらえればと思います! 今回はニュージーランドドル/円、米ドル/円、 英ポンド/スイスフランのポートフォリオを考えたいと思います。 検証期間は2002年3月5日から2007年3月5日とします。  HVを算出します 「ヒストリカルボラティリティの算出方法」でやった方法で、 各通貨ペアのHVを算出します。  投資比率を追加します 3つの通貨ペアの投資比率を追加します。  相関係数を算出します 「相関係数の算出方法」と同じ方法で、各通貨ペアの相関係数を算出します。  分散マトリクスを作成します ここは理屈を理解しようとすると難しいので、 とりあえずはやり方だけ覚えてもらえればと思います。 3つ以上の通貨ペアを含んだポートフォリオ全体のHVを計算するには、 分散マトリクスというものを作成しなければなりません。 以下の計算をします。 同じ通貨ペア同士なら、 その通貨ペアの投資比率の2乗×その通貨ペアのHVの2乗 異なる通貨ペア同士なら、 Aの投資比率×Bの投資比率×相関係数×通貨ペアAのHV×通貨ペアBのHV 実は上の式では、分散と共分散(きょうぶんさん)というものを使用しています。 上の式にすでに組み込まれているので、 あまり気にしなくていいのですが、 一応分散、共分散の算出式を掲載しておきます。 分散=HVの2乗 共分散=相関係数×通貨ペアAのHV×通貨ペアBのHV それでは、まず同じ通貨ペア同士の計算をします。 次に、異なる通貨ペア同士の計算をします。  ポートフォリオ全体のHVを算出します ここまでで、やっとポートフォリオ全体のHVを計算する準備が整いました。 ポートフォリオ全体のHVの算出方法は、 分散マトリクスで出した数値を全て合計し、 その平方根を計算すれば算出されます。 結果は4.06%でした。 各通貨ペアのHVから考えると、 かなりリスク分散できているということがわかります。 はじめての人はかなりややこしくて難しいかもしれませんが、 通貨ペアが4つ、5つとなっても、 算出する式は増えますが、ここで紹介した方法で算出することができます。 一度エクセルを作っておくと、 あとは検証するデータを変えれば自動計算してくれるので、 自分が考えているポートフォリオが本当に有効なのかがわかります。 また、投資比率を変えると、 さらに分散効果の高い比率が見つかると思います。 VaRの算出方法 *このページの情報は2008年09月24日時点のものです。 前ページでは小難しい説明をしましたが、 ここまで読んでくれた人なら、 VaRの算出方法はそれほど難しく感じないと思います。 ここでは、「3つ以上の通貨ペアを合計したヒストリカルボラティリティの算出方法」と同じく、 ニュージーランドドル/円、米ドル/円、英ポンド/スイスフランを、 2002年3月5日から2007年3月5日の期間でVaRを算出したいと思います。  ポートフォリオ全体のHVを算出します 「3つ以上の通貨ペアを合計したヒストリカルボラティリティの算出方法」と同じ様にして、 ポートフォリオ全体のHVを算出します。 (「3つ以上の通貨ペアを合計したヒストリカルボラティリティの算出方法」で算出したエクセルがある人は、 そのまま使ってください。)  ポートフォリオ全体の金利を算出します スワップ、為替レートから、各通貨ペアの金利を算出します。 今回はスワップと為替レートは、 セントラル短資のものを採用しました。 「HV」と「投資比率」の間に「スワップ」「為替レート」「金利」の、 3つの項目を追加しています。 次に、各通貨の金利から、 全体の金利を算出します。  VaRを算出します NORMINV関数を使います。 NORMINV関数は、 NORMINV(1-信頼区間,金利,HV)と代入するとVaRを算出してくれます。 今回は信頼区間99%のVaRを求めるので、 NORMINV(0.01,金利,HV)と入力します。 これでVaRが算出され、 -4.57%以内の損失に99%の確率で収まるということがわかりました。 VaRの算出にはNORMINV関数が便利なのですが、 関数を使わずに電卓で算出することも可能です。 信頼区間99%ということは、HVの2.33倍なので、 全体のHV4.06%を2.33倍しますので、VaRは-9.46%となります。 為替の場合はさらにここから金利を考慮しなければならないので、 金利分のリターンを差し引きます。 すると、 9.46%-4.88%=4.58% となり、関数を使って算出した値とほぼ一致します。 エクセルでは、小数第二位までしか表示されていなくても、 それ以下の端数まで含めて計算してくれますので、 電卓で計算した場合との誤差が発生します。 NORMINV関数を使えば、 金利とHVがわかればVaRを算出できますので、 個々の通貨ごとのVaRを算出することも可能です。 自分は1つの通貨ペアしか持っていない!という人でも、 その通貨の金利とHVを関数に入れればVaRを計算することができます。 ただ、ここで算出したVaRには、 少しだけ注意しなければならない点があります。 次のページで説明したいと思います。 VaRで注意しなければいけないこと *このページの情報は2008年09月24日時点のものです。 「VaRの算出方法」で算出したVaRには、 少しだけ注意しなければならないことがあります。  金利差が今の水準であることが前提です! 前ページで算出したVaRは、 金利が今の水準で推移することが前提です。 たとえば、もし米ドル/円の金利差が縮小した場合、 VaRはより大きくなります。 ですので、金利水準が大きく変わってしまった場合、 再度自分のポートフォリオのVaRを計算しなおす必要があります。  損失額にはレバレッジがかかる たとえば、米ドル/円単独の信頼区間1%のVaRが-12.08%だとします。 この場合、証拠金30万で米ドル/円1万ドルを買っていたとすると、VaRは、 30万×12.08%=36,240円 なので、99%の確率で36,240円以内の損失で済むんだ! と考えてはいけません。 VaRである-12.08%は、 証拠金ではなく、投資金額にかかってきます。 つまり、このときの米ドル/円のレートが105円だとすると、 1万通貨を購入するのには105万円が必要になります。 すると、VaRは、 105万×12.08%=126,840円 となります。 つまり、レバレッジ4倍で通貨を保有している場合には、 VaRにもレバレッジをかけなければなりません。 注意点は大きく上記の2つです。 特にレバレッジを考慮しないと、 リスクをかなり少なめに見積もることになりますので注意が必要です。 買う前にシミュレーションをする【1】 *このページの情報は2008年10月15日時点のものです。 ここまでで、 HV、相関係数、VaRの算出方法を説明しました。 これで買う前に、 自分が考えているポートフォリオが、 どれくらい優れているのかもある程度シミュレートできると思います。 リスクは把握できている限りリスクではありませんので、 実際に取引をする前に、シミュレートできることは、 とことんシミュレートしておきましょう! ただ、ここでするシミュレートは、 金融工学的なものなので、 金融工学的に優れているかどうかはわかりますが、 ファンダメンタルズ的に優れていかどうかはわかりません。 それではここまでで作ってきたエクセルを利用して、 さらに実践的なシミュレーションができるエクセルに仕立て上げていきましょう。 「VaRの算出方法」で作ったエクセルをそのまま引用します。 ↑このエクセルをさらに改良していきます。 これをきっかけに、より深く金融工学を学べば、 今自分が入っている保険の保険料は割に合わない! ということが判断できるようになるかもしれません! 目次 プロローグ:幻のデリバティブ商品!「はまちスワップ」 【ポイント解説】オプション取引 【ポイント解説】スワップ取引 第1部:デリバティブ編 リスクテイカーの秘密 へそ曲がりのスワップ講座 ウサギと亀のボラティリティ 曲者のオプション理論 リスクとリターンの恋愛術 第2部:マーケット編 相場の力学 市場とのコミュニケーション 収益と損益の非線形 なぜ、間違えた判断をするのか 第3部:リスクマネジメント編 ビジネスリスクと金融工学  より実践的な投資比率を計算する 今までの例では、 33:33:34と、ほぼ3等分して分散投資している設定でした。 しかし、実際にはここまできれいに分散するには、 相当な金額を用意しなければなりません。 ですので、為替レートと投資通貨数を考えて、 よりリアルな投資比率を出しましょう。 投資通貨数、為替レート’、投資金額の3つの項目を追加します。 (追加する項目はエクセルに「←項目追加」と書いています。) 「為替レート’」というのは、名前はなんでもいいのですが、 外貨/外貨を保有した場合に、 売り通貨(GBP/CHFの場合はCHF)と円の換算レートを入れておきます。